Physiological effect of strength trainings

昔書いたボート部のブログより抜粋↓
筋トレの生理的効果について。



筋肉が成長するためには、筋肉にトレーニングによる刺激を与える必要があります。
石井直方著「筋を鍛える」によると、刺激には以下の五つの種類が考えられます。

(1)メカニカルストレス=筋や筋線維内の構造に作用する力そのもの
(2)代謝環境=力発揮や仕事生産に伴う代謝物濃度の変化、筋線維の興奮い伴う細胞内イオン環境の変化など
(3)酸素環境=収縮・弛緩にともなう筋内酸素濃度の変化→これにより様々なタンパク質の酸化・還元状態が変化する。
(4)ホルモン・成長因子=成長ホルモン、男性ホルモンなどのアナボリックホルモンの分泌や、インスリン様成長因子-I、ミオスタチンなどの成長因子の生産
(5)筋線維の損傷・再生=特にエキセントリック動作によって起こり、筋線維の増殖や、「枝分かれ」をともなう

今回は(2)、(3)、(4)に焦点をあてます。

まず、(2)の代謝環境の変化ですが、筋肉がエネルギー源として使うATPは、解糖系と有酸素系を通して生産されます。ウェイトトレーニングのような高強度の運動では、有酸素系が解糖系に追い付かずに筋肉中に乳酸などの代謝物質が溜まります。このような代謝物質が「トレーニングを行った」というシグナルとなり、筋成長を促すと考えられます。

次の、(3)の酸素環境の変化は(2)とも関係しています。筋肉が収縮すると、筋肉が太くなり、硬さも増大します。すると、筋内の血流が制限され筋内が低酸素状態になり、有酸素系が制限されて乳酸などの代謝物質が溜まります。また、筋力発揮を終了して筋肉が弛緩すると、血管が拡張して一気に多量の血液が流入して、筋収縮前よりも一時的に血流が増大するという現象が起こります。このとき筋内は低酸素状態から急激に高酸素状態にさらされるのですが、これによって活性酸素が発生します。この活性酸素がトレーニングのシグナルとして働いている可能性が示唆されています。
この原理を利用したトレーンニングには、加圧トレーニングやスロートレーニングがあります。

(4)のホルモンや成長因子の分泌も、(2)と密接に関係しています。トレーニングによって筋肉中に乳酸などの代謝物質がたまると、その情報は神経を通してホルモンを生成する場所である間脳視床下部に伝えられます。そこで成長ホルモンなどが分泌され、血液を介して全体に行きわたります。



以上が代謝物質・酸素濃度・ホルモンなどによって筋成長が促進される仕組みです。
では、実際はどのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか?
ひとつの方法として、セット間インターバルを短くするということが挙げられます。
同じ強度でも、セット間インターバルを短くすると成長ホルモンの分泌量が多くなるという実験結果が得られています。



ここで、石井直方著「究極のトレーニング」で紹介されていて、僕も実践して効果があると思うトレーニング法を紹介します。

「まず、アップから始めて負荷の大きさを上げていき、3セット目くらいでピークに達してから再び負荷を下げていきます。筋量が主目的となるボディービルダーの場合でも、絶対的な挙上重量は大きい方が有利ですので、ピーク重量(3~5RM)で行うまでは十分なインターバルをとり、筋力増強をねらいます。次に負荷を下げていくときには、インターバルを短く、できれば1分程度にし、しかも1セットの反復回数が5~10RMになるようにします。さらに、最後のセットで※マルチパウンデージ法を用い、ノーインターバル(15秒程度)で負荷を段階的に落とすようにすれば、なお効果的です。」

※マルチパウンデージ法:休息を入れずに段階的に負荷を下げて行うトレーニング。セット間の休息を短くすると大きな負荷はかけられなくなるが、成長ホルモンが大量に分泌されるため効果が高い。



僕はこれをレッグプレスで実践している(負荷は最高で10RM、ノーインターバル後は30RM ぐらい)のですが、特に最後のノーインターバルの時に「成長ホルモンが分泌されてる〜!」ていう感じがしていいですよ。気のせいかもしれませんが。