第69回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会

date: 2013/9/1
distance: 168km(14km×12周)
result: 23/154位

1年間、このレースで結果を残すことを目標にして練習してきた。

戦いの舞台は、1周14kmのコース。
3.5km程の平坦で始まり、一旦下った後に斜度7%、約5分の坂を登る。
登り切ってから1.5km程のアップダウンを経て下った後、再び斜度12%、約3分の壁が立ちはだかる。
その坂を越えると4kmアップダウンが続き、最後の短い登りの頂上がゴール。
きつい登りが2つも組み込まれており、クライマーの自分には有利なコースレイアウトである。

現地には、レースの1週間前から入った。
テーパリングは完璧と言っていいぐらいに上手く行き、レース当日はこの1年でもおそらく最高のコンディションで迎る。
レース前には念願のオイルマッサージも施してもらい、気合も十二分。

スタート位置は、集団の中ほどに確保した。
集団にはいつも以上にピリピリとした雰囲気が漂う。
隣の福島もいつも以上に無口で無表情だ。
スタート5秒前。
緊張をほぐすため、初めて「シャス!」と言ってみる。
号砲と共に、全国から集いし154人の兵達が走り出す。

初めの登りまでの5kmはニュートラル走行で、バイクが先導する。
この間に、隙間を見つけては入っていくことを繰り返し位置を上げていく。
登りでのリアルスタートは、集団前方で迎えることができた。

最初の1・2周は予想通り登りのペースが上がり、集団に付いて行けない者はどんどんとふるい落とされていく。
しかし2周目で3人ほどの逃げが形成されると、集団は強豪の鹿屋体育大学日本大学にコントロールされ、ペースは落ち着いていく。
それから後しばらくの間、自分は省エネで走ることに全神経を集中させる。
3周目で何人かの追走集団が抜け出すが、まだ早いと判断して乗らなかった。
この時は、この時点の逃げが最後まで生き残るとは思いもよらずに...

4・5周目で集団のペースはサイクリング以下にまで落ち込み、逃げとの差は最大で8分近くまで拡がる。
6周目に入って、前方に誰も送りこんでいない日大勢がようやく焦り始めて前を牽き始めたため、俄然集団のペースは上がる。
自分は前の方に位置どって何とか付いていったが、後ろにいた福島はここで千切れてしまったようだ。

いっとき鬼のように上がったペースも、逃げとの差が縮まると落ちてくる。
9週目の一つ目の登りで、痺れを切らした数人が集団から抜け出す。
自分も行くかどうか迷ったが、細い道は他の選手に塞がれていて前に出ることが出来きず、疲労による思考の鈍化も相まって諦めてしまった。
後で振り返るとこれが最大の判断ミスであった。
前の選手を掻き分けてでも行くべきであった。
この時の光景は、今でも脳裏に焼きついて離れない。

10週目の一つ目の登り。
ここで行かなきゃ一生後悔すると思い、一人で抜け出す。
残りは2周半。
自分の脚に、「頼むから持ってくれ!」と祈りつつ。
しばらく独走した後、二つ目の登りに入る前に東大の浦君と法政の選手が合流して3人になる。
一筋の光が差してきた。

そこから3人で協調しながら回したものの、11周目の初めの登りで浦君が千切れ2人になってしまう。
そして11週目の終わりに日大2人、鹿屋2人、中京1人からなる集団に追いつかれ、そこに合流する。

最後の1周。
登りに入ると、今までのが嘘だったかのようなペースで駆け上って行く。
長いストレートに出た瞬間、前の集団が視界に入った。
隣の選手が呟く。「行くっきゃない」
そうしてさらにペースを上げていく。
「行くっきゃない」のは自分にも分かった。
分かっちゃいるが、脚が言うことを聞いてくれなかった。
悔しかったが、どうすることもできなかった。
その後は限界に近い脚に鞭打ちながら、何とか後ろには追いつかれずにゴール。
結果は23位。
優勝したのは、2周目から逃げ続けた鹿屋体育大学の一回生。
150km近くを逃げ続けて優勝してしまう脚力と精神力は、ただただ尊敬するしかない。



結果として、目標としていた8位には届きませんでした。
自分自身でも残念でしたが、何よりも応援・サポートして頂いた方々の期待に応えられずに申し訳無いです。
こうして振り返ってみると、後悔の念も少なからずあります。

一方で矛盾するようですが、「楽しかった」という思いも大きな割合を占めています。
レース中、危険で空気が読めない走り方をしていた自分が、鹿屋の某選手に怒鳴られるという場面がありました。
その時は何もそこまで言わなくてもと思いましたが、後から考えると鹿屋にとっては総合優勝がかかった大事な場面であり、シビアになって当たり前でした。
レース後謝りに行った自分に、彼は笑顔で接してくれ、健闘を称えてくれました。
また、レースでは完走することが出来なかったけれども一年間競い合った東大の2人の選手も、レース後に完走を祝福しに来てくれました。
この時、この競技をやっていて良かったと心から感じました。

最後になりますが、今回遠い青森までサポートに来てくれた山元君、棚橋君、森岡さん、石山さん、木村さん、須々田君、長森君、堤君、本当にありがとうございました。