4(金)20km、1.0h、TSS30、流し

 私はWKO4というアプリケーションでパワーデータを管理しているのだが、謎の数値が登場することが多く、理解しなければと思いつつも後回しになる日々が続いていた。その中でもFRCという値が頻繁に出てくるので改めて調べてみた。
http://www.hunterallenpowerblog.com/2015/08/an-overview-of-new-metrics-in-wko4.html

FTP(Functional Threshold Power)とは>
 FTPとは、「1時間全力TTした時のパワー」とされる。お手軽に計測できる上に、クエン酸回路(有酸素的にエネルギーを作り出す回路)だけで賄えるパワーとFTPがほぼ一致するという点で有用な指標だ。
 実際のところ1時間TTって結構辛くね?ということで、「20分間全力TTした時のパワー×0.95」をFTPとするのが一般的である。例えば私の場合、花背TTで19分21秒、NP364Wが今シーズンのベストである。その頃の私のFTPは345Wということになる。「理論上では」345Wを1時間出し続けられるはずだ。この指標については知っている人のほうが多いだろう。

<FRC(Functional Reserve Capacity)とは>
 FRCとは、FTPを超えるパワーで、fatigue(疲労困憊?) になるまでに出し続けられる全仕事量である。ここでいうfatigueというのは、おそらく、「あー疲れた」とかそういうレベルではなくて、タバタ後の大谷みたいに10分以上言葉を発することができない、という状況だ。
 具体的に計算してみる。例えばFTP300Wの選手が450Wで2分間ペダルを回しfatigueになったとする。FTPを超えるパワーというのは、

450W-300W=150W

のことらしい。それを120秒出し続けたので、

 FRC=150W×120s=18kj

という計算結果になる。

<意味>
 それではこれがどういう意味を持つのだろう。FTPが有酸素的な回路で賄えるパワーと一致すると考えるならば、FRCは無酸素的な回路からひねり出したエネルギーということになる。すなわち、FRCはその人の無酸素運動の能力や最大酸素借を反映しているということだろう。
 ハンターアレンの言葉を借りるならば、FTPとFRCの関係は、発電と予備バッテリーの関係と同じだということらしい。必要とする電力が少ないときは、バッテリーをあえて使うことはせず、発電だけでまかなう。ところが、発電量を上回る電力が必要になったとき、バッテリーを使う。発電が間に合わず、バッテリーを使い果たしたとき、停電、すなわちfatigueなる。

<使い方>
 使い方は2種類あるように思われる。第一に、単純に無酸素性運動能力の評価に使える。自分がどういう選手化改めて理解できるという。例えば私のFRCは15.3kjであるが、男子の平均は18.2kjで標準偏差は4.7kjらしい。つまり私の無酸素能力が平均以下だがまあ普通の範囲内であることがわかる(体重比でみるとおそらくゴミ判定が出るだろう)。
 加えて、FTPを超える域でのパワーの予測に使えるかもしれない。具体的に計算してみよう。WKO4によると、私のここ一ヶ月のFRCは15.3kj、FTPは325Wである。現在の私の5分の最大の運動強度(CP5)は、発電量+予備バッテリー分と考えると、CP5 = 325W + 15300/300 = 376Wという感じか。今シーズンで一番調子の良かった7月のFTPは345W、FRC16だが、それを使うと、CP5 = 345 + 16000/300 = 398Wと計算できた。今シーズンベストのCP5は401Wだったので、なかなか悪くない精度で予測できてるんじゃないかと思う。