シンカラ2nd stage

シンカラ1st stage - 京都大学自転車競技部練習日誌
155.9km/10分/1.5時間/移動日

アリさんおはようございます。ベッドの上のアリさんの数が前日より増えたのは気のせいでしょうか。そして、みんな寝ている間に謎の虫にかまれて、体のところどころが腫れているのですが…?
さて、今日は補給地点があります!
チームカーまで脚を使っておりてきて補給を取るよりは、補給地点で確実に取るという作戦。前日のうちに3人のほしいものを聞いて、補給班になった3人がどう渡すかも決めて準備ばっちり!前日疲れすぎて、決めたのはこの日の朝だけど。ただ、補給区間が1kmもあるのが学連と違うところ。失敗しても取りやすいように500mずつ間隔をあけるという話も出たけれど、探しやすい、いちいち補給取るラインから取らないラインに戻る必要がないという理由で200m間隔にしようということにした。
また、前日のうちに補給地点への行き方も主催者に確認。シャトルバスはなく、自分たちのチームバスで行くらしい。バスはレースの30分前にスタート地点を出発する。前日のうちに誰がどの車に乗ってどう移動するのかはプジャにちゃんと伝えておいた。しっかりしてるので、ちゃんと言っておかないと彼らはどうするの?ってすごく聞いてくる。そして、オバマとカヴにもちゃんと伝えてもらった。ちゃんとね。

この日のスタート地点はインスタ映えスポット。行列はない。というか、どの町にも町名を書いたオブジェが存在するから何も珍しくない。
チームバスに乗る3人とお別れして、スタート。みんなスタートへはボトルの他に、冷えた水入りペットボトルを背中にさしていった。パレードが終わるまで飲んで、後は道に捨てるらしい。観客もたくさんいるし、何より他の選手がそうしているんだとか。この日からみんなポイ捨て野郎になった。
初めのうちは前日のゴール後に通った道を逆走する形。緑のわりにかなりアップダウンがあった。そして、初めの4級の下りは酔うから注意とバスから連絡があった。ほんまに酔いそうになった。山岳のカテゴリーと下りのやばさは何の関係もない。
バス組とはずっとお互いどこを通過しているのか連絡を取り合っていたのだけど、補給地点に着いたという連絡がない。電波が常にいいわけではないけれど、明らかにそろそろ着いていないとおかしい。位置情報を確認すると、どう見てもバスはゴール地点の近くにいた。嫌な予感しかしない。何よりよくないのが、補給の大部分は大きな荷物と一緒にバスに積んでしまっていたこと…そして、2つ目のスプリントポイントを過ぎ、チームカーは電波のかなり悪いゾーンへ。全く連絡が取れなくなってしまった。このとき、バスの中の焦りはかなりのものだったらしい。後でケータイを見たら何回も電話がかかってきていた。

さて、(後で振り返れば)補給地点だと思われる場所を通過。どこのチームも補給スタッフが立っていない。ただアシストがやたらと降りてくる。そして、チームカーからボトルを1本あたり15秒くらいかけてもらいながら引っ張ってもらっている。有名チームでも構わずやっているので、見かねたコミッセールが無線でぶちぎれている。” We don’t want to see your pushing any more!!! STOP IT!!! ”って。誰も聞いていない。こういうときは、プジャとオバマにいけないことを教えるチャンス。ほんとはね〜ダメなんだよ〜でもね〜みんなやってるの〜って。
そして、このとき選手3人も補給地点を通過していることには気づいていた。ここでもらうことをあてにしていた川嶋はそれまでに補給を飲みきっていて、この後脱水症状気味になる。

断面図オレンジのところに入ったときかな。スマトラの道は常にくねくねかつアップダウンがあるので、普段はチームカー隊列の後方にいるWJICFカーからは集団が全く見えないのに、なぜか集団がはっきり見えていた。勾配がありすぎたからだった。うわー見える見えるー後ろの方つらそ〜と思ったその瞬間、数人の先頭を残して雪崩のように集団が一気に崩壊した。気づいたらプロトンの人数一桁でした、っていうテレビで見るアレ。
崩壊したとはいえ、選手がまだ道にたくさんいるので車では抜かしにくい。けれども、集団の崩壊を見てチームカー隊列は崩れかけていた。混乱に乗じて前の方にしれーっと上がっていく。川嶋が手を挙げて補給アピールをしているのが見えた。これで正々堂々と前に上がれると思ってフライング気味に加速したら、コミッセールがちょうど乱れたチームカー隊列をきれいにしようとして前を見ていない。そのまま注意されて、後ろに下がらざるを得なかった。しかし間もなく遅れた選手たちを車が抜いていき、コミッセールカーもどこかへ行ってしまった。この頃には、選手は1人ずつ淡々と坂を上っていた。コーナーの内側を通る人、外側を通る人、蛇行しながら上る人、下を見ながらペースを保つ人…この後の平地が短くないから周りから1人で遅れる=死。そんな横を福島はクーラーのきいた車で人の運転で快適に上っていきます。ただ、オバマが選手を抜かすたびに急加速、青のジャージを見つけるたびにブレーキを踏んでチームメイトがいるぞ!っていうジェスチャーを取るから少し酔い気味。確かに青のジャージは多いけれど、あの青はWJICFしかいない。ちなみに、オバマは9thステージまで他の青ジャージと区別できなかった。

さて、川嶋を発見。集団が崩壊しているから誰の許可を取らずとも選手に車を横付けできる。冷えたボトルを渡して、水もかけた。このとき一気に冷水を飲んだせいで川嶋は後でおなかを壊すことになる。まだ水ほしそうだなと思ったけれど、前でアピールする久保田を見つけたオバマが急加速したので最後までは補給できず。このときシートベルトを外して、上半身を乗り出して補給していたから、そんなことを急にされるとほんとに殺す気かと思う。
一旦前の久保田、井上に補給する。後ろにも選手がたくさんいること、そしてレース前にも話した通り前後の選手とうまく集団を作って下るように伝えて、川嶋が来るのをゆっくり走りながら待った。すると山頂付近では、他のチームカーが止まって、立ち補給をしているのを目撃。まだまだオバマの横付けテクニックは未熟なので確実に渡せるこの方法にチェンジ。プジャとオバマに水をかけてもらって、私が最後にボトルを渡す作戦。(このときはまだお腹をこわしていることを知らなかった。)オバマは一般人がするのを見て覚えたのか、水をかけずに川嶋の背中を押していたけど、ボトルはちゃんと渡せたのでよし。
川嶋に再び追いついたら、「お腹痛いですぅ〜」と。何も悪いものは食べていないはずだけど食中毒が頭をよぎって、補給地点消滅並みのパニックになった。ここから川嶋には水はかけず、補給も常温作戦。この集団にしがみついていられるかも分からなかったので、オバマにゆっくり走ってもらい後ろに別の集団がいないかも確認したけど、もう近くにはいなかった…。そのことは伝えずに、グループ川嶋とは一旦さよなら。それまで曇っていた天気が晴れだしたので、前の2人の補給が心配。
このころ全体はというと、総合狙いの集団とたくさんのグルペットという形です。


photo by Vian Pham ぼーっとしているんじゃなくて、片手にボトルもちながら水かけ終わるのを待ってる。このときはまだ、ごみを回収するという概念がわたしにはあった。

グループ井上は15人ほどでうまく先頭交代をしながら走っていた。井上だけでなく、他チームの選手にもボトルを要求されたので交換。さらに前の久保田のいる4人の集団でも同じことをした。ただ、オバマが他チームにボトルを渡すことを理解していないので、いざ渡そうとしたときに加速したりするのが厄介。ちゃんとあの選手にボトル渡すよって毎回説明しているんだけど…
もう一度下がり、グループ井上で同じことをして、止まって川嶋を待った。このとき、ゴール地点に着いてしまった補給組から先頭ゴールの情報が。ほんとは無線で聞こえるはずだけど、離れすぎているのか途中から全く聞こえなかったのでお願いしていた。
川嶋はちゃんと集団で来てくれた。完走はできるよ〜と伝えて、後を追いながらゴール。
久保田、井上、川嶋の順に別のグルペットでゴール。
ゴール後の選手はバスの3人がサポートしてくれていた。

さて、バス組の事情聴取。まず、信じられない速さで山道を行くらしい。運転手がカヴェンディッシュのスプリント体制より低い姿勢で目をぎらつかせながら、チームバス同士で抜かしあいを繰り広げていたらしい。だから、バス運転手のあだ名はカヴ。タブリーズバスに抜かれそうになると、Go!Go!Go!と言って、抜かされるのを阻止したりして、カヴとの連帯感が生まれたみたい。そして、減速チェンジをする度にみんなで一緒にヘドバンをしてたんだとか。そんな速いスピードだから、あれ?ここ劇坂?って思う場所が一瞬しかなくて、1級山岳を通過していることに気付かなかったらしい。あのみんなひぃひぃ言ってた坂だよ?どんだけ速いねん。(ヘドバンしてたところ絶対1級だと思います。)
まあ、どこのチームバスも補給地点で止まれていなかったし、劇坂の時点ではすでに通過しているから別にいいんだけど。


この日の宿は、初めの2日間泊まっていたところに戻る。さらに3連泊。水曜朝までの快適な生活が確保された。


書き損なったけど、初日を除き、チームカーの番号シールはスタート地点でもらえる。無線チェックと共に勝手に交換してくれる。ここが熊野とは違った。
リザルトはゴール地点でその日のうちにもらえる。LOが場所を知っていて、いつもプジャが取りに行ってくれた。


雑感
・たった2日目なのに、5/9が終わった間隔。
・補給地点が消えたことに関して、補給組がコミッセールに聞いてくれていたのだけど、コミッセールも状況が掴めていなかったらしい。他チームはどうやって対応してたんだ?
・でも、もし補給地点があったとして、
そこだと思われる地点はほんとに人がたくさんいた。どこかのチームの選手は接触して落車したほど(確かその後救急車で運ばれた)。もしボトルを交換できても、捨てた方を回収できないだろうし、毎日写真をたくさんお願いされることから考えて、補給スタッフの安全も確保できない。他チームも補給していない限り、単独で行うのは危なそう。
・バス組はお土産としてもらったサコッシュで補給してもらうつもりだったけど、このサコッシュは強度不足で引っ張るとちぎれやすいので安全ピンで根元を固定していた。あと、須々田さんに教えてもらった通りサコッシュは高く持つ方がいいことはちゃんと確認。前輪に巻き込むことがあるらしい。

・補給地点をあてにしすぎていて、いろいろバスにたくさん積んでいたことは反省。ボトルの数もぎりぎりだった。
・まさかの全てのボトルを交換することになって、慌てて電界質などを車で作っていたのだけど、1級山岳では選手が坂に点在するので避けたりすると車のスピードが一定ではない。補給作成時に水ばっしゃーん、粉ばっしゃーんは当たり前。ズボンの上で何回もOS-1が形成された。先に準備しておきたいですね。
・とか書いといて、ボトルを先にたくさん準備すると、冷やしているので汗をかいてゼリーをシールではくっつけられない。輪ゴムをもっと持って行くべきだった。
というわけで、毎回粉入りゼリー付きボトルをたくさん用意して、呼ばれたときのみ冷水を後から入れる形式をとった。

・チームカーからプロトンの選手への補給はまだできていないけど、3つのグルペットを行き来しながら補給を繰り返すのは楽しかった!
翌日以降も失敗を恐れず、チャレンジしていきたいですね。もし何かダメなことがあったら注意してくれるし。

・チームカーの選手の横付けはもっとしっかり行いたい。オバマに1m以内じゃないと届かないことを伝えているのだけれど、なかなかうまくできない。まあちょうどミラーの死角から近づく形になるからすぐには無理か。あと何mとか具体的な数字を毎回言っていた。
オバマが前日のせいか、やたらとコミッセールを警戒する。小集団の選手に横付けしているときでも、見つけた瞬間ブレーキを踏んで集団後ろに戻るから危ない。
・でも、スタート地点に着いたら、氷を運んで来てくれて、クーラーボックスの準備等をいつも何も言わなくてもしてくれるのは大変ありがたい!
この僕がやるんだ精神はすごく助かるんだけど、後々いらいらの原因になる。
・一方、プジャとの連携はかなりうまくいっている。ボトル交換の際も、プジャが回収してわたしが渡すという形式が確率された。そして、毎回選手と離れる際にがんばって〜と日本語で声援を送ってくれる。
・この日も夕食後はプジャとお話。宿が違うから電話したり、メッセージうったりしながらだけど。車内でも暇なときは、空気抵抗の話やレース予想も話していたから、補給時の選手への横付けが甘くて届かないときも補足説明付きでオバマに話してくれていた。ほんまに当たりのLOです。
ちなみに、「空気抵抗のせいで選手は集団から外れて車の方に寄ってきたくない」は、「Because of the air resistance, they don’t want to change the line. 」とかで普通に通じた。ただこれをインドネシア語オバマに話すときは漫才やってるのかと思うほど合わない尺で話していた(長い)。理系科目は英語で習うような国だから、置き換える単語がないんだろうな〜とか思うとしみじみ。

・みんながばらばらのグルペットになっているときは、走っている姿を取る絶好のチャンスだったんだけど、そんなことを思い出す余裕はなかった。後でものすごく後悔する。


・そして、ボトル洗浄、レース記録、プジャとのお話等いろいろしていると、この日も含めて連日睡眠時間は3時間ちょっと。これが翌日以降体にずしーんと響いてくることをこのときはまだ知らない。


今回も長文ですみません。でも、書いとかないと後につながらない...

シンカラ3rd stage - 京都大学自転車競技部練習日誌