白馬クリテリウム

インカレを完走する。

それがシーズン前にたてた今年の目標だった。
しかしインカレ出場権をもたないまま、ズルズル日付だけが経過し、ついに白馬を迎えてしまった。
ロードで出れなかった時のためにピストで保険をかけておこうという目論みも破たんし、いよいよ追い込まれた。
ラストワンチャン。
夏休みの宿題、定期試験、受験。ギリギリを攻めて乗り越えてきたものの数は計り知れない。
「まあ何とかなるやろ。」
それが自分にできる精一杯の強がりだった。


一日目ポイントレース クラス3 1位 昇格。

「福島って何A?」
「何Aってなんすか!?聞くなら3何でしょ。」
Fクハラ先輩に真面目にからかわれるレース1時間前。
クラス3の分際で場所を取ってもらうのはフェアじゃないと思い、アップせずにマツキヨとノコノコスタート地点へ向かった30分前。
「安全第一で行きましょう」という競技説明に「建前。」とつぶやいたマツキヨが少し面白かった10分前。
何も覚えていない5分前。
シャッスが聞こえない30秒前。
シャッスが聞こえない10秒前。
緊張してきた2秒前。
あ、始まった。
恐怖のローリングスタート
絶対クラス3はローリングしない方がいいと思った30秒後。

作戦はペースを上げて少人数のポイント争いに持ち込むというもの。
最終のゴールポイントが馬鹿でかく、一発スプリント勝負となると分が悪いので、セコセコと動いてポイントを稼いでおきたい。
一回目のポイント周回はみんな元気で、取るのがしんどいのと、見送っても大勢に影響はなかろうというので、その後が勝負だなと踏んでいた。なんせ40人も出走している。

1回目のポイント周回
後ろにいてもしょうがないので、とっとと前に上がって最終コーナー5番手でツッコむ。
下りでツキ一。
少し踏むと簡単に二人パスでき、3番通過でいいかと思って無理せず行ったが、さらに前の二人が近づいてきたため、勝負した。
結果2位通過で、3ポイント獲得。

その後勢いで半周ぐらい先頭を引いていたが、府大の選手が「逃げるか」と言ってきたので乗っかる。
法政の選手が一人入って、3人の逃げ。願ってもいない展開。

2回目のポイント周回
府大の選手が景気よく前を引いてくれるので、なんの駆け引きもなく最後の直線へ。
下りでツキ一。
登りで法政が発射。シッティングでツキ一。ゴール前でチョイ差し。
一位通過で5ポイント獲得。

3回目のポイント周回
同じく3人の勝負。
あまりにけん制がなかったので、これでいいのかと思いつつ2回目と同じ位置取りで直線へ。
全く同じ展開。
発射台1号、2号(敬称略)のおかげで一位通過。
5ポイント獲得。

ここで府大の選手が遅れる。
二人で逃げたかったが、残念ながらそこまで足はない。
残り2周でメイン集団に追いつかれ、元気な法政と日大がペースを上げ始める。
願ってもいない展開。
先頭交代に加わり、できるだけ勝負する人数を減らす。
残り一周となり、できるだけ足をためさせないように、前に出てハイペースを維持するが、自分がしんどいだけだった。
あろうことか、最終コーナーの手前で先頭交代を要求。
法政2人が発射したがつききれず、4番手でスプリント。
前には追いつけそうもなかったが、4位フィニッシュだったら大丈夫であろうと思い、気を抜いていると、最後にチョイ差しをくらい、5位フィニッシュ。
ヤバい…。

結果は…
一位!
昇格。
湧き上がる歓声。
あふれでるアドレナリン。
増える口数。
地球に生まれてよかった。


翌朝
「福島って何A?(笑)」
「2Aです!」




二日目ロードレース

残り2周ぐらいで千切れて完走。
こけないことが最優先事項だったので、良かった。
内容はともかく。



先輩二人にずっと運転してもらい、サポートの方にも来てもらい、行きは助手席にも座らず、これで昇格できなかったら本当にシャレにならなかった。
レースが終わってから自分がけっこうなプレッシャーを感じていたことに気付いた。
個人競技がやりたくて自転車を始めたが、自転車をやる上においてもチームってすごく大事なんだと感じた2日間だった。
チームメイトに感謝しつつ、このちょっとばかしユーモアとオチのある長文を締めくくりたい。
本当にありがとう。