タバタプロトコルと回復 タバタプロトコルをやるべき人、タイミング

10(水) 30km、TSS50、サイクリングのあとタバタ。出力が上がっていた。感覚的にもどうも回復しているようだった。

<タバタと回復について>
 おとなしくする予定だったのだが、タバタと回復に関する疑問を解消するためにタバタをした。それは、「タバタによって受けるダメージと一日の回復量はどちらが大きいのか」という疑問だ。
 ここ三カ月ほど実験的にタバタをやっていて、疲労感についての発見があった。やっている最中とやり終えた直後は、二度と立ち上がれないんじゃないかとさえ思えてくるほどの絶望的な疲労感に襲われる。しかし、時間がたつにつれ疲労感は無くなって、次の日にはもう何ともなくなっている。これは小浜やら琵琶一やらレースやらでもがいた時の疲労感とは明らかに異なる。こちらも同じように絶望的な疲労感に襲われるが、絶望は三日は続く。タバタの疲労と小浜の疲労は違う。タバタは次の日にほとんど残らない。
 で、次に「タバタって疲労が残らないどころか、むしろ回復するんじゃね?」と考えた。ほんで、それを確かめるためには、「疲労の残っているときにタバタを続けて、出力の変化を観測する」というのが良さそうに思えたのだ。そういうわけで、千弥の土入れによって疲労困憊になった今、あえて二日連続でタバタをやってみたのである。

 結果はどうも体感的にも出力的にも(疲労がたまらないどころか)回復していそうだということが分かった。
 まあまあ調子がいい時は平均500Wくらい出ていたが、昨日の千弥明けのタバタでは平均482Wまで下がり、今日もう一回タバタをやってみたらそこから5Wだけ出力が上がって平均487Wになった。有意差はなさそう笑。とはいえ、一応出力は上向いているし、体感的にも土入れによる絶望から解放されていて、回復しているように感じられた。タバタをやってもダメージが残らないどころか、むしろ回復すると思って良さそうだ。

<タバタを続けてみて分かったこと>
 さて、主に徳野を使って行っているこの実験。タバタ氏の論文と合わせていろいろなことが分かってきた。
①中距離(京見、10分程度)の能力は向上するらしい。(徳野のタイムより)
②24歳男性のフリーターがやる分には回復のほうが上回りそう。(須々田の出力より)
③筋肉はめっちゃ付く(徳野の見た目の話。どれくらいついたか、という量的な問題はよくわからない…レッグプレス等で筋力くらいは測るべきだった)。
④糖代謝を担うタンパク質Glut-4が増えるらしい。(タバタさんの論文)
⑤糖代謝を担うタンパク質Glut-4や酸化系酵素の合成を促進するタンパク質であるPGC-1αが増えるらしい。(タバタさんの論文)
⑥④と⑤の増加量は6時間の低強度運動(いわゆるLSDに相当するだろう)と同等である。(タバタさんの論文)
⑦④〜⑦の結果として最大酸素摂取量と最大酸素借が向上する。(タバタさんの論文)

 分かってきたことも多いのだけれど、疑問もたくさんある。ロードレースみたいに長いレースになってくると、糖代謝能だけでなく脂質代謝能も重要な気がするけれど、脂質代謝能はどれくらい向上するのか?徳野や岡本の話を聞く限り、LSDが楽になることはないらしいから、脂質代謝能に対する効果はLSDに大きく水を開けられていそうだ。同様に、最大酸素摂取量ってどこまで長距離の出力に影響を与えるのかもよくわからんなあと思う。最大酸素借の伸びを考えると2分〜10分は劇的に強くなりそうなんだけど…。この辺はあまり整理できていない。

<タバタをそもそもやるべきか?やるならいつやるか?>
 そういうことをいろいろ考えると、タバタをやるべき人(あるいはタイミング)ていうのは、
・時間がない人(院生、就活生)、時間のない時期(テスト前とか)
・仕事などで慢性的に疲れている人、あるいは小浜の次とかの回復日
・30km以内の短いレースに焦点を合わせている場合
・どうしても中距離(5分〜10分)の能力を磨きたい場合
という感じだろうか。時間があって長距離のレースに照準を合わせているなら、まあやる意味がないとは思わないけど、他にやるべきことがあるかもしれない(何かをするということは何かをあきらめるということだ。人生はトレードオフの積み重ねなのだ)。とにかく、今度の西チャレが楽しみだ。徳野の結果次第ではまたいろいろと発見がありそうだ。