2019TTT〜美山TTT5/25〜

*レース前

・ペーシング
今までのTTTトレーニングで10分ー20分のTTTペースは見えていると思います。

落ち着いてスピードに乗せてからは集中して最後まで走り抜きましょう。

何度か書いていますが、TTTの難しいところは前半飛ばしすぎると確実に後半タレますし、あまりに前半抑えると後半は結局上がらないまま終わります。

ですから、スタート後出来るだけ早く自身の狙うペースに乗せることが大切です。

後半はだんだんと足に差が出て来ます。
その時に先頭交代が雑にならないことが大切です。

また明日はスピードの低いチームも出てきますから、追い抜く時のスピード差が大きくなると思います。

安全に注意して抜く時は大きな声で「抜きま〜す!」と言いましょう。

ちなみに「右〜!」とか「左〜!」は言わないほうが良いです。なぜなら前の選手は右に寄れという意味なのか右を空けてくれという意味なのかが分からずフラつく可能性が高いからです。


・勝つこと!
どんな選手にとっても年間のレースカレンダーのなかで勝てるチャンスというのはそう多く訪れません。

ですから勝てる可能性のあるレースは抜かり無く勝利を狙っていきましょう!


*レース

美山TTT
TTT
https://analyze.dcrainmaker.com/#/public/44140274-9b96-48c6-52a7-d63e06d1f938

Lap1 5:20
Lap2 5:40
Lap3 5:50
Lap4 5:40

L1 往路 2:50
L2 復路 2:31
L2 往路 3:12
L2 復路 2:28
L3 往路 3:18
L3 復路 2:32
L4 往路 3:15
L4 復路 2:25


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中田コーチコメント

「先程お送りしたラップをまとめてみました。

(1)タイムから見たペーシング
何度も言うようで恐縮ですがやはりラップ1の5分20秒(45.2kmh)が速すぎです。
昨年の京産大の平均時速が43kmhですから時速2kmも速いです。

これは昨年の全日本のITTで言えば時速2km違えば優勝と○位ぐらい違いますし、例えばこのスピードで4周したら21分20秒のタイムになります。

今回の22分30秒を4で割れば5分37秒です。
京産のタイムを4で割ると5分33秒

1周につき4−5秒速ければ勝てた訳ですからペーシングさえ上手く出来れば勝っていたと思います。
片道2-2.5秒ですからね。

(2)パワーから見たペーシング
向井田さんのパワーデータがとれていたのでコチラで説明します。

彼の現在のFTP設定は302W
(ちなみにFTPを公開することは特に不利になりません。体重も違えば、FTPを超えて動ける時間、FTP以下で維持できる時間が各自違うし、回復力も違うからです。
それに「フルームのFTPが440W」と聞いても他の選手は何も出来ません。彼らがパワーデータを公開しないのはFTPが6.4W/kg以上あるとドーピングを疑われるからです。そもそもパワーメーターは各社でかなり精度に開きがあるので単純比較は出来ません。構造的に絶対値よりも「何ワット変化したか」の方が正確にとれるようになっているのも理由です。)

話を戻します。

向井田さんのパワーゾーン
Tempo 250W +/-20W 2.5-8h
FTP 296W +/-20W 10-60min
VO2Max 340W +/-20W 3-8min

こうしてみると往路で318Wを出した(しかも間欠的にACを繰り返しつつ平均がVO2Max)

なのでVO2Maxでオールアウトしてしまう3−8分をかなり使ってしまったといえます。

その為、後半はかなり苦しんだにも関わらずNPは276W(91% of FTP)に留まっています。

今回であればレース時間が20分ですから、概ねNPが300W +/- は行けたでしょう。

TTTにおいてAVPはあまり意味を成さないし、NPも60分以下だと高く出すぎてしまうのですが、逆にいうとペーシングが成功すれば少なく見積もってあと20Wは高いパワーを維持できた可能性があります。

今週のレースは1h20m程度ですから、おそらくNP240W +/-あたりが狙い値になるでしょう。

ちなみにまだパワーメーターを頼りにペーシングするにはデータが少なすぎるので、今回のTTTはパワーメーターを見ずに平均時速とRPE(主観的強度)で行くほうがうまくいく可能性は高いです。」



*レース後反省


レース直後に「あ〜すれば良かった。こうすれば良かった」というのは誰でも出来ます。

でも翌日に反省点をまとめてそれを次のレースに実行するのが大切だし、またそれをする選手は少ないです。
差がつくのはそういったところです。


(1)自分から失敗に向かってはいけない

1.レースは相手に負けることよりも自分で失敗を呼び込んで負けることの方が多いです。特にアマチュアの場合はそうです。

ペーシングが上手く行っていなかったのなら、レース中に話し合うべきです。速すぎるなら手で下げろという合図をするだけで良いです。

ペースを上げたのだけが悪いのではなく、コミュニケーションを取らないのが良くないです。
ペースを下げるのは簡単なのですから。


2. You can only measure improvement in things you can quantify.

Andy Coggan, PhD

ヘッドユニット忘れは致命的です。
時計が無いのにラップを確認することなんて不可能です。
スピードが上がっているか下がっているかも分かりません。
データがなければ後で見返すことも出来ません。

上の言葉はTSSやNPなどを考案したアンディ・コーガン博士の言葉です。

”量を測れるものだけが進歩を測れる” という意味です。

要するに測れないことには何も分からないということです。

最新のデバイスがあるわけですから活用しなければなりません。

高折先生のヘッドユニットを借りれたのですからガムテープ等でも良いのでハンドルに貼り付けるべきだったと思います。
周到な準備が出来ていないということは自分から負けに行っているようなものです。

持ち物リストを事前に作っておきましょう。


3.スタート地点への持ち物
昨日はサポートに山田さんと高折先生が来てくださっていたので、スタート地点に向かう時にポンプ・水・最低限の工具(アーレンキーセット)・代車輪を持ってくることをお願いすべきです。

これも周到な準備の一部です。


4.話し合い
上に書いたレース中以外にも昨日の感じではもう少しスタート前に4人で話し合いの時間をもったほうが良かったかなと思います。

それはWU後、スタート地点に向かうまでです。
走り終わった後にしていたような話(ペーシングやラップの確認)を本来はスタート前に確認しておくべきです。

スタート地点に並んだらもう自分のことだけに集中したほうが良いですが、それまでにここまでのトレーニングで課題になったことを皆で再確認し修正しましょう。

昨日の課題を全部解決出来たら、昨日と同じコースで30秒は縮まると思います。

それは単純計算で来週2分短縮出来る事を意味します。


(2)健康管理
1.調子の良いときほど、健康管理には注意しなければならない。

一般の人が健康で調子が良いというのと選手が調子が良いというのは異なります。

選手が調子が良いと感じるのはしっかり練習はしつつも疲労が抜けている状態(CTLが高くATLが低い=TSBがポジティブ>0)です。

レーニングの疲労と回復の微妙なバランスの上に調子は成り立っていて、少しでもそのバランスを崩すと体調は急降下してしまいます。

それが調子が良い時程注意しないといけない理由です。

2.お腹の調子を整えるのは重要。

整腸剤(エビオスやわかもと)などを毎日飲んで腸内の環境を整えましょう。乳製品が大丈夫ならヨーグルトやチーズなど発酵食品を取りましょう。キムチや納豆などもオススメですし、根菜類やキノコの類が効く選手も居ます。

自身で「これを食べたらお腹の調子が良くなる。」というものを探しておきましょう。


(3)TP・ブログを全部見直す

ここまで3ヶ月ハードにトレーニングしてきましたから、実力はついているはずです。

ここまでTTTに特化してトレーニングしてきたチームは全国でもおそらく京大チームだけでしょう。

ここでもう一度ブログやTPのコメントを全部見直して復習しておきましょう。

特にTTT練習を行った土曜日のデータを見直して、自身の最高の走りをイメージするのに使いましょう。

コメントも見直してその時の自分が何をどう感じていたかをみるのも大切です。(それがコメント記入が重要だといつも言っている理由です!)


(4)スケジュールを紙に書く
フレームに目標ラップを書いて貼ったのはとても良いです。

次は会場入りからウォームアップ、レーススタートまでの時間を紙に書いてテントに貼りましょう。



9:00 会場入り 設営(テント・ローラー・椅子など)
   バイクセットアップ・空気入れ・ゼッケン装着
9:30 WU開始
10:15 ミーティング
10:20 先頭交代を軽く確認
10:40 レーススタート!


レースでは常に不測の事態が起こると思って良いです。

何となく準備をしていると時間はすぐに過ぎ去ってしまい慌てる羽目になります。

基本的なプランがあれば微調整で済みます。


(5)駐車場スペース
駐車するのに一番良いスペース
・WUをするときに日陰になる
・舗装されているところ(パンクを防ぐ)
・大会本部に近いところ(美山TTTの会場では難しいですが、学生TTTでは可能かもしれません。放送が聞こえるので、突如のスタート時間変更その他に対応できます)



高折部長コメント(2019年は部長の高折先生が美山に2日連続で足を運んでくださいました。)


「選手の皆さん、2日間の美山大会ご苦労様でした。いろいろハプニングもありましたが、本番のチームTTと個人ロードに向けて良いプラクティスになったと思います。チームTTでは冷静にペースコントロールをすることの重要性を再確認できました。そして心身と機材の準備のために何をするべきかということも明らかにできました。今日のロードレースでは、各自で反省点があると思いますが。やはり「ハイライト」は福原君ですね。折角の機会ですから、心が痛い!?かもしれませんが、少し振り返ってみましょう。中田コーチの事前のアドヴァイスに「レースは相手に負けることよりも自分で失敗を呼び込んで負けることの方が多いです。特にアマチュアの場合はそうです。」とありましたが、まさにその通りになってしまいました。「自分から失敗に向かってはいけない」というアドヴァイスはけだし名言で、私の歳になっても大事なことで、手術の時にはそのように考えてやっています。また、ゴールシーンのビデオを見返してみると、他の日本人選手は半ば諦めているのに、アイラン選手だけは猛烈なゴールスプリントをかけて福原君を刺しているのがわかります。狩猟民族の血がそうさせるのか、プロとしての意地なのか、いくつか理由はあるでしょうか、間違いないことは、彼が勝ちたいと強く思っていたということです。これも中田コーチのアドヴァイスにありましたが「勝つこと!」、これにつきます。本番では、今回の経験をバネにして、全員で頑張ってください。中田コーチは米国出張中なので、来週は選手自身が中田コーチのアドヴァイスをしっかりと心に刻んで試合に臨んでください。では、今晩と明日はゆっくりとリラックスして、本番に向けてコンディションを整えてください。お疲れ様でした!」



・レースレポート


新谷

http://kucrt.hatenablog.com/entry/2019/05/27/224009

福原

http://kucrt.hatenablog.com/entry/2019/05/28/134830

向井田

http://kucrt.hatenablog.com/entry/2019/05/27/131840